2015年05月30日

【480】歩き遍路51日目〈その4〉[2014年2月11日]

急な擬木の階段を下り、再び車道に合流した。一台のRV車が通り過ぎて行く。
「へんろちか道」と書かれた、石の道しるべがあるが、字が上手じゃないというか、幼い感じがする。この字体の遍路石も時折見掛ける。

この道に入って行く。道幅は広くなり、石畳も見られる。きっとこの道が、県境を越えて続いていた、廃道になりつつあった幅の広い道の続きだろう。

初めて歩く道ということもあり、写真を撮り、周囲をよく見ながら歩いていたため、ずいぶんと時間が掛かってしまった。

ようやく麓の静かな町まで下りて来た。「大坂口御番所跡」があり、歴史の案内板やベンチがある。

阿波からの藍の持ち出し、百姓の国外への逃亡、隠密の入国などに厳しく目を光らせていたそうである。隠密とは、まるで時代劇のようだ。

踏切を渡り、しばらくはJR高徳線に沿って歩いて行く。時折、特急電車などが通過していく。

自分が電車に乗って四国を離れる時などは、お遍路さんが歩いていないかと、目を凝らして車窓を見て、発見すればまだ歩けることを羨ましく思うものだが、自分の姿を見て同じような心境になっている乗客はいたのだろうか。

トボトボと車道を歩き、阿波大宮駅という、小さな田舎の駅に到着した。ここで一休みすることにした。駅に人影は無いので、ホームに出たり自由に過ごす。大坂峠ハイキング下車駅、と古い看板が残っていた。汽車でハイキングに来る、そんな時代もあったのだろう。  


Posted by こいったん at 21:44Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月25日

【479】歩き遍路51日目〈その3〉[2014年2月11日]

素晴らしい眺めの大坂峠の展望台でゆっくりと過ごしたかったのだが、とにかく風が強くて寒い。

真冬の風ほど寒いものは無い。今回の遍路初日に、しんしんと雪が降りしきる中を歩いていた時には、確かに歩きにくかったのだが、風は無かったので寒さはそれ程感じられなかった。この時の方がまだ良かったように思える。

200m戻って、遍路道に合流する。歩きの道を下って行くと、車道を横切る。右は板野町、左は鳴門市と看板が出ている。お腹もすいたことだし、この合流地点で一休みすることにした。

おにぎりやお菓子を食べる。天気は良いのだが、気温が低く風も吹いているので、寒くて鼻水がポタポタと落ちていく。
青年が一人、山から降りて来て通過していった。今日は日曜日なので、日帰りトレッキングだろうか。

休憩を終え、再び遍路道を数歩進んでビックリ、物凄い急勾配の擬木の階段となっていた。これまで経験した中で、一番急なのではないだろうか。存在を知らなかったので、驚いてしまった。

手すりを利用して降りていきたい所だったが、ちょうど前方より手すりに掴まりながら上ってくる人が。先程、上り道で追い越して行った方のようだ。麓まで下りて、また戻って来たのだろうか。

階段の真ん中を下ったが、少々バランスを崩して声が出てしまった。その声を聞いてか、道を譲ってくれた。
お顔を拝見すると、結構年をとっている感じの方だった。上りで追い抜かされた時などは、その体つきからもっと若い方かと思っていた。休日にはこの山を往復して、身体を鍛えているのだろうか。
身近に、こういった歴史のある峠道があってうらやましいものである。  


Posted by こいったん at 15:38Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月20日

【478】歩き遍路51日目〈その2〉[2014年2月11日]

大坂峠に向かって進んで行く。
展望休憩所への道しるべがあった。遍路道を外れるので、行こうかどうか少々迷ったが、数百m坂を上り、立ち寄ってみた。

麓の町は木々に遮られて見えず、瀬戸内海は眺められるものの、歩いていても同じ眺望が楽しめる。
ここの展望所は今一つだったが、県境を越えたもう一つの展望所は素晴らしい景色が広がっていた。

遍路道に戻る。写真を撮りながらのんびり歩いていると、颯爽とハイカーが追い抜いていってビックリした。人間に会うとは思いもよらなかったので、驚いた。

四国のみちの県境を示す立杭がある。下って行く道が続いているのだが、木が生えて自然に帰りつつあり、右上方への歩きの道へと誘導された。何か変だなあと思いつつも、擬木の階段を上る。

この辺りから、ここ数日の雪が所々に残っていた。
木に菅笠がしっかりと括り付けられている。結願間近のお遍路さんが奉納していったのだろうか。

急な擬木となり、一部、踏み固められた雪でツルツル状態のため、手を付いて上った。
上りきった所で、右0.2km大坂峠休憩所の標識がある。
先程寄り道した展望所が今一つだったこともあり、素通りしようかとも思ったが、せっかくここまで歩いて来たので、行ってみることにした。

さらにツルツルの階段を登っていくと、山の頂上らしき開けた場所となった。引田の街だけではなく、白鳥や高松市内までの展望が開けていた。小豆島や本州も見えるらしいのだが、どこがどこなのか分からず特定は出来なかったが、遠くまで見渡すことが出来た。  


Posted by こいったん at 20:59Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月15日

【477】歩き遍路51日目〈その1〉[2014年2月11日]

今回の遍路旅、最終日である。

午前7時過ぎに宿を出発する。
部屋を出て、フロントへあいさつに行くべきかどうか考えているうちに、奥さんが出てきてくれた。駐車場にカメラが設置されているのだろうか。

国道を昨日の分岐まで少し戻り、大坂峠へと向かう。県道1号線を少し進み右折すると、両側に木造の住宅が並ぶ、渋い一角があった。

JRの線路をくぐってすぐに左折となる。ここは、ぼんやりしていると、そのまま直進してしまいそうだった。
突き当たりから山道となった。車が通れそうなほどの幅の土の道が続いていく。ツツジの花の一部が、もう咲き始めていた。

へんろ地図では、腸のようにグネグネとしている県道1号線に差し掛かり、横断する。一部、石畳となっていたのは、昔からのものだろうか。

新しい遍路石が大坂峠へと誘導してくれているが、その袂に花が供えられている。周囲に人家は見当たらないが、麓の方がしてくれているのだろうか。遍路石にお花も珍しい気がする。

山道を上って行くと、「大坂峠みちの移り変わり」という案内板があった。
道の歴史、そして詳細な地図が書いてある。今歩いているのは、旧道(四国のみち)となっているが、旧旧道(最も古い道)という道があり、昨日泊まったホテルの手前の道が、旧旧道にあたるようだった。  


Posted by こいったん at 20:55Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月10日

【476】歩き遍路50日目〈その10〉[2014年2月10日]

ホテルを出て、すぐ近くのローソンで夕食その他を買い込み、宿へと戻った。

ホテルの手前に、「文化庁選定 讃岐街道 大坂峠越 歴史の道百選」と書かれた看板がある。
明日は、先程の分岐まで戻らず、この道からも行けるようだが、へんろ地図に従って、一応少し戻って大坂峠へ向かうことにする。

翌日分かったのだが、ホテルの横から入る道は、大昔、初期の頃の峠へ向かう道のようだった。

階段を上がり、室内へ。部屋は広く、ソファもある。ラブホテルらしく、寝具が清潔なのはうれしい。
そう言えば、遍路宿では煎餅布団が多いが、今回宿泊した三軒とも、きれいな布団であった。

身体が暖まらないので、毛布に包まって、テレビを見ながら過ごした。




ビジネスホテルオーシャン引田:素泊まり 4000円  〈3号室・14畳くらい?〉
      ※洗濯は可能だが、お願いしなかったので値段は?
        シーツ・パジャマ・小さな湯沸かし器(茶・コーヒー)、冷蔵庫、洗面用具あり、自販機なし
        宿泊客:?人


本日のコースタイム
白鳥温泉8:28→10:18しろとり物産センター10:42→11:45東照寺12:01→12:22白鳥神社13:24→16:05讃岐相生駅16:11→16:33ビジネスホテルオーシャン引田


歩行距離:22.2km
 歩数  :34559歩
最高気温:5.2℃
最低気温:2.6℃[引田]  


Posted by こいったん at 20:14Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月06日

【475】歩き遍路50日目〈その9〉[2014年2月10日]

讃岐相生駅を出発する。
一旦、国道に出るが、すぐに旧道へと入りしばらく進むと、県道1号線の標識が見えてきた。
明日はここから右方向へ行き、大坂峠へと向かう。

今日は、もう少し先の「ビジネスホテルオーシャン引田」に泊まるので、再び国道に出た。ローソンがある。今日の宿は、食事付なのか、予約の時に聞くのを忘れてしまった。恐らく素泊まりと思うので、夕食を買っていこうかとも思ったが、念のため、まずは宿に入ることにした。

ローソンから宿まで100m弱だろうか。歩道は向こう側にあったが、あと少しなので、人一人歩けるだけの路側帯を歩いていた所、これまでの遍路で一番の恐怖が。

向かいからトラックがやって来て、全くスピードを落とさず、避けてもくれずに、そのまま通過していった。向かいから車は来てなかったので、少しくらい配慮してくれてもいいものだが。すぐ真横をスピードを出したトラックが通過し、本当に怖かった。

午後4時半過ぎ、「ビジネスホテルオーシャン引田」に到着した。サービスタイム〇〇円と書かれた看板がある。元ラブホテルと思っていたが、現役のようだ。
入り口はどこか、とウロウロしていると、奥さんが出て来て案内してくれた。予約の電話の時と同じく、感じの良い方だった。

受付をし、お接待のスポーツドリンクを頂き、部屋に案内してもらった。やはり素泊まりのようで、先程のローソンか、隣にあった食堂が手頃な値段で食事が出来るとの事だった。
身体が冷え切っていたので、すべきことは早くしてしまおうと、荷物を降ろしてすぐに夕食の買出しに向かった。  


Posted by こいったん at 20:50Comments(0)お遍路 第二拝(香川)

2015年05月02日

【474】歩き遍路50日目〈その8〉[2014年2月10日]

旧引田町の市街地の外れまでやって来た。
水谷屋旅館という、営業しているのかは分からないが、レトロで印象的な建物があった。

少し先に、またも遍路石があるが、半分以上、地面に埋まっている。はっきりと文字が見え、大坂越、そして一本松と刻まれている。三本松は與田寺の辺りだったが、一本松とはどこになるのだろうか。

引田の街を抜け、引き続き旧道を選びながら歩いて行く。へんろ地図に「東海寺」と掲載されているので、立ち寄ったつもりが違う寺名が書かれている。近くにあるのだろうが、通過することにした。

国道を歩いていると、工事中で片側交互通行。人の歩くスペースは無く、自分が通過している時、車は両方向ともストップしていることに気が付いた。あわてて通り過ぎる。

国道から100mほど入った所に駅舎が見えたので、休憩がてら立ち寄ってみることにした。讃岐相生駅である。楠だろうか、大きな樹が目立っている。
四国のみちがここを通っているようで、讃岐相生の説明版があった。

和三盆の製造が盛ん、そして、あの東京ブギウギの笠置シヅ子の出身地ということだった。もちろん、現役の歌手時代は知らないが、家族そろって歌合戦の審査員だったことで記憶に残っている。

ベンチに荷物を下ろして、一休みする。ホームに出てみると、田んぼが広がっており、犬の散歩をしているおじさんの姿が見えた。のどかなひと時である。  


Posted by こいったん at 21:35Comments(0)お遍路 第二拝(香川)